AMS2023カレンダー問題のまとめ(終了)

2023年度のAMSカレンダー問題のポイントをまとめた.コメント数が30件を超えるものを対象とし,キーワードなどを拾い出してみた.全部で23本,それと別に黒木氏が投稿したスレッドから7本をピックアップした.(加納正司氏の投稿に関わるトピックスもあるが,未整理,物理関係は拾わなかった)トピックスは多岐に渡っているが,時間経過とともに発展してきたものもあり,どのような課題が残っているのかを把握しておきたい.一番分かりやすいのは,未解決の命題の形で定式化しておくことではないだろうか?ともかく,懸案項目を列挙してみよう.

  1. #016 複素数のべき⇒複素回転,複素反転
  2. #047 3次複素方程式の根⇒複素数根の視覚化
  3. ※188 FK:2023/02/26 一関市博物館「和算に挑戦」平行線の公理,実験数学,和算三平方の定理,界斜の可動範囲,アルキメデスの楕円コンパス,楕円族の包絡線(アステロイド)図,宿題Ⅲ:楕円コンパス線が楕円の接線になっていること,その接点が包絡線上の点であることが言えればよい
  4. #081 コンウェイの定理⇒応用問題Ⅳ:任意の三角形の頂点を各底辺と平行な線で切り取って得られる六角形をここではコンウェイ六角形と呼ぶ.コンウェイ六角形の頂点が一つの円を共有する,つまり共円となるための条件を示せ.この問題はNahmの三角形にも通じる.
  5. #093 べき乗剰余⇒べき乗剰余数列の周期性,初項・0項・1項の出現と周期,オイラーの定理の拡張「ある正整数 α が存在し,a^α ≡ 1 mod n となることと,a と n が互いに素であることは同値」
  6. ※103 FK:2023/05/04 京都大学の後期試験問題命題:p を任意の素数,n を任意の正整数とする.1~p の n 乗(p 個の整数)の和を p で除したときの剰余を R(p, n) とすると,R(p, n) = { Σ{k=1→p} k^n } mod p.このとき,R(p, n) = p – 1 if (n mod p – 1 ≡ 0) else R(p, n) = 0,べき乗和剰余数列の周期が p-1 であることの証明,べき乗和剰余列の類別,べき剰余マトリックスの縦数列,横数列の性質:①周期性,②回文性,③異種文字数  
  7. #186 ネストした多重根号式⇒べき等が関係するのではないかという予想,べき剰余数列にも関係する,落伍項 ⇒ ラマヌージャンの問題他
  8. #234 列車A,B,C 確率論,面積積分
  9. ※59 FK:2023/09/15 S3の置換 に3次正方行列(要素(0,1)の置換行列を対応させる,行列に置換を作用させる,置換行列の行列式は対応する置換の符号に等しい,一般線形群,交差しない閉路の集合であるようなグラフ 
  10. #269 3元1次連立方程式⇒逆行列を左から掛ける
  11. #272 無向グラフの半径⇒フロイド・ライプネッツのアルゴリズム,フロイド・ワーシャル法
  12. ※48 FK:2023/10/01 今日はNHKのまわし者 確率論,モンティ・ホール問題,マリリン・サヴァントの解,ねじれの位置,非ユークリッド幾何学,コラッツ予想,数論が崩れる,光の木
  13. #283 交代群A5の極大部分群の位数⇒ドミノ・アルゴリズム(すべての部分群を高速生成)群とタイル貼りの関係,極大部分群の取り出し
  14. ※50 FK:2023/11/05 対称群Snの共役について τ^(-1)=[[τ(1),τ(2),…,τ(n)][1,2,…,n]] 産まれたときから婚約者が決まっている,有限性の檻,任意の群において元の置換表現を割り出すことは可能か?,「有限単純群分類」の終了宣言(1980年初め),極大部分群の共通部分(フラッティーニ部分群)
  15. ※43 FK:2023/11/10 対称群Snの共役について(再) フロック(部分群を構成する場合に不可分な元の集合),アリアドネの糸巻き 素群,素数位数の群
  16. #331 三角形の周長⇒ナムの課題,ナムの課題の拡張

ナムの三角形に関係して投稿したスレッドが出てきていない.これらを落とすことはできない… AMSのカレンダー問題とは独立だが,拾い出しておこう.とりあえず,3本ある.

  1. 2023/12/07 ※136 初等幾何の問題です.三角形ABCとそれに交叉する円があり ⇒ ナムの第一三角形,ナムの第二三角形,パスカルの定理とブリアンションの定理,GeoGebra,ブライケンリッジ・マクローリンの定理,60本のパスカル線,60個のカークマン点,20個のシュタイナー点,20本のケーリー線,15個のソロモン点,15本のプラッカー線,米澤晋吾の神図,pencil,射影幾何学,Perfect Pacal Mysticum Points,コンウェイのThe Pascal Mysticum Demystified,Desargues, Pascal and Kirkman(対称群S6と六芒星図)https://www.facebook.com/groups/2354748741306929/posts/6934878979960526/
  2. 2023/12/15 ※3 米澤晋吾氏作成の神図(神秘のM点図)パスカルの神秘なる六芒星図  https://www.facebook.com/groups/2354748741306929/posts/6934878979960526/
  3. 2023/12/16 ※10 射影幾何:大学初年級の授業で最初につまづいたところ. 連比,斉次座標 https://www.facebook.com/groups/2354748741306929/posts/6932400156875075/

大体これで出揃ったのではないだろうか?当面の方針・課題をピックアップしてみる.

  1. パスカルの六芒星図に出てくる60本のパスカル線,60個のカークマン点,20個のシュタイナー点,20本のケーリー線,15個のソロモン点,15本のプラッカー線を確認する
  2. GeoGebraでナムの三角形が圏外でも描画できるように改作する
  3. トリプル三角形の神秘点図(パスカルの定理の拡張)を証明する
  4. オイラーの定理の拡張「ある正整数 α が存在し,a^α ≡ 1 mod n となることと,a と n が互いに素であることは同値である」を証明する
  5. 複素数のべき⇒複素回転,複素反転の概念を確立する
  6. 3D描画ツール・アニメツールを使いこなす
  7. 楕円族(2次曲線)の包絡線図を研究する ⇒ 「平面上の6本の直線で区切られた領域の最大個数問題」
  8. コンウェイの6角形はパスカルの6角形とどこかで結びつくか?コンウェイのフリーズパターンとべき剰余マトリックスの周期性
  9. 確率論を掘り下げる:面積積分・重積分
  10. 群とタイル貼りの関係,ドミノ・アルゴリズム
  11. べき乗和剰余数列の周期・類別,べき剰余マトリックスの縦数列,横数列の性質:①周期性,②回文性,③異種文字数⇒久留島喜内の道具箱
  12. 極大部分群・素群概念の確立・素群分解⇒アリアドネの糸巻き
  13. ハミルトン閉路問題の多項式時間アルゴリズム:floyd leibniz algorithm,フロイド・ワーシャル法⇒アリアドネの糸巻き
  14. コラッツ予想問題の最終解決⇒コラッツ銀河高速道路

一つ見落としがあった.2023/04/22 #112に「平面上の6本の直線で区切られた領域の最大個数という問題」というのがあり,これらの直線がある種の包絡線を構成している.この構成では2次曲線にはまったく言及されていない.この意味ではパスカルの六芒星図の大幅な拡張(ないし特殊例)とみなすこともできる.この問題はオイラーの多面体定理を用いて解いている.包絡線とは「二直線の交点を他の直線と共有しないような図式」であり,「二直線の交点が他の直線と共有されない」ということは,この図面がある種の「界面」つまり,IF (interface) を表していることを意味する.

カーマイケル数はオイラーの定理の拡張とは関わりがない.

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